数日前に無事ドイツから帰国をしました。帰国前日にはランディルのスポンサーイベントがあり、そこで優勝のご報告をしました。きっと皆さん喜んでくださっていたと思います。そして、チームとのお別れもやってきました。地元紙にもお別れを惜しむ記事を掲載していただき、あのチームでバスケができたこと、主力選手の1人として優勝に貢献できたことを本当に光栄に思います。感謝!
ご存知の方も多いとは思いますが、男子日本代表車いすバスケットボールチームは、タイで行われた世界選手権予選を兼ねたアジアオセアニア選手権(AOC)で世界選手権出場権を逃すこととなってしまいました。理由は新型コロナウィルスの影響です。それにより、大会を棄権せざるを得ない状況になってしまいました。
このことに全く触れず、ブログやSNSの更新をしていくことに不自然さを感じたのでブログを書くことにしました。
色々な思いがあります。世界選手権に出たかった。これは素直な思いです。でも起きてしまったものはもう変えられない。だから、この出来事に意味を見出す必要があると思います。
ドイツからタイでの試合を見ていて、人数が少なく、しかも空調設備も整っていない中で試合をしていた選手たちを見ているとどんどん心配になっていきました。
自分自身ドイツリーグのプレイオフ準決勝ラウンドの前に新型コロナウィルスに感染し、試合に出られなくなるということを経験しました。チーム内で少しずつ感染が確認される中規定により試合は一度延期となり、その後も感染は少しずつ広がってしまいました。それでもなんとか試合が没収されることなく、残ったメンバーで準決勝ラウンドを突破、全員でドイツリーグ優勝を果たすことができたのです。
今回のAOC、感染してしまった選手たちはとても苦しかったと思います。症状が出ているとしたら、それだけでもきついのに。そして、この大会のメンバー全員が本当に苦しく、悔しい思いをしているに違いありません。
僕自身も感じましたが、コンタクトスポーツであるバスケは感染率が高いと言われています。予防行動は本当に難しいし、徹底していても感染したりします。ウィルス感染は自分たちがコントロールできる部分を頑張っても、感染についてはコントロールできない部分でもある、と思います。
この大会で起きたことはもう変えられません。
じゃあ、「仕方ない」で終わらせるのか?それも違うと思います。コントロールできる部分はどこなのか、何が起きたのかの検証を改めてしたうえで、次の行動につなげていくことはできるからです。
つまりこれは、今回の大会に選ばれたメンバーだけのことではもちろんなくて、強化指定選手に選ばれたすべての選手が同じように考えること。今回のことを全員が自分事としてとらえたうえで、今後の行動に活かすことが、今僕らにできることだと改めて思いました。
出場権を獲ることができなかった。それはどういうことか?世界と戦う機会を逃し、世界から置いていかれてしまう可能性がある、ということです。
でも起きてしまったものは変えられません。だからこそ、男子日本代表チーム全体としてこの出来事に意味を見出さなくてはいけないと思います。それが僕たちの今の課題であり挑戦だと僕は思いました。
大会に出たメンバーで陽性になってしまった皆さんの症状が軽いこと、早く良くなることを心から祈っています。みんな精神的にも本当に苦しかったと思います。少し休んでね。今回のこの事に意味を見出すことができるのは自分たちしかいない。一緒にさらに強くなるチャンスです。頑張ろう。
応援してくださっているみなさま、男子代表はパリパラリンピックでのメダル獲得という目標を見失ったわけではありません。しかし、窮地に立たされたことは事実です。ここから這い上がっていきます。これからも応援よろしくお願いします。